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バリ取りの半自動化でコスト削減|手作業との比較と導入事例

製造現場において、バリ取り作業は品質を左右する重要な工程である一方、作業時間・人件費・安全性・作業環境といった多くの課題を抱えています。本記事では、バリ取りの「半自動化」が、こうした現場の課題をどのように解決し、具体的なコスト削減に繋がるのかを試算例を交えて詳しく解説します。

バリ取りとは?

「バリ取り」とは、金属や樹脂の切削、プレス、せん断加工といった製造工程において、材料の縁に意図せず生じる不要な突起(バリ)を取り除く作業を指します。バリは、加工条件を最適化することで発生を抑えることはできますが、完全にゼロにすることは非常に困難です。そのため、多くの加工現場では、バリ取り工程が不可欠な作業として組み込まれています。

バリが引き起こすトラブル

バリは製造現場から最終製品の使用に至るまで、さまざまな場面で深刻なトラブルを引き起こす原因となります。
具体的な4つのトラブルとその影響について解説します。

  • 製品の品質・精度の低下
  • バリの脱落による故障
  • 作業者や使用者の怪我
  • 組付け精度の悪化

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製品の品質・精度の低下

バリが製品に残っていると、その製品の品質や精度に直接的な悪影響を及ぼします。例えば、設計された寸法公差(許容される寸法の誤差範囲)から外れてしまうことが発生します。

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バリの脱落による故障

製品内部に残されたバリは、使用中に予期せぬトラブルや重大な故障を引き起こす原因となります。製造時には問題なく見えても、振動や温度変化、経年劣化によってバリが製品内部に剥がれ落ちることがあります。精密な電子機器内部で金属バリが落ちると回路をショートさせるリスクがあります。また、エンジンやモーターのような駆動部を持つ装置では脱落したバリが可動部に嚙み込み、摩耗や破損を誘発する可能性があります。

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作業者や使用者の怪我

鋭利なバリが部品の縁に残っていると、加工の組み立て作業を行う人が手を触れた際に、切り傷や刺し傷を負う原因となります。また、最終製品にバリが残ったままお客様の手に渡った場合、製品を使用する人が怪我をする可能性もゼロではありません。

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組付け精度の悪化

部品の接合面にバリが残っていると、設計通りに正確に組み合わさらず、隙間が生じたり、部品が傾いた状態で固定されてしまったりします。これが原因で製品の気密性や防塵・防水性能が低下したりする場合があります。また、組付け不良は最終製品の剛性や耐久性にも大きく関わります。

バリ取り手作業のコツと課題

多くの製造現場において、バリ取りは手作業で行っていることが実情です。特に多品種少量生産を行う企業では自動機を導入するほどの量産体制ではない事や、複雑な形状の製品には人の手による微細な調整が不可欠であることから手作業が選択されています。

  • コツ
  • 工具の選定と使い分け
  • 適切な力加減と工具の当て方
  • 作業の順序
  • 課題
  • 人件費と作業時間の増大
  • 作業者ごとの品質のばらつきと属人化
  • 作業環境の悪化と労災リスク
  • 取引先からの品質要求・納期要求が厳しくなっている

バリ取り半自動化によるコスト削減試算

バリ取り機の導入を検討する上で、最も気になるのは具体的なコスト削減効果と投資対効果ではないでしょうか。
ここでは、バリ取り機(UNI-DEBURRING)を使用してパイプ20,000本のバリ取り作業(両側)を行った場合の一例をご紹介します。

作業時間と人件費の試算

本試算は、人件費:1時間当たり2,000円として算出しています。

作業時間(1本)

作業時間(20,000本)

コスト(人件費目安)

手作業

60秒

333.3時間

666,600円

バリ取り機

4秒

22.2時間

44,400円

バリ取り機ー手作業

▲311.1時間

622,200円削減

上記は一例ですので、人件費単価、作業数量、加工条件等により結果は異なります。

このように手作業60秒から機械での4秒に置き換えるだけでも、大幅な人件費削減が見込めます。バリ取り機の導入効果が数値として明確に見える点は、設備投資判断において大きなメリットです。

年間コスト削減の想定例
・1回あたりの削減額:約622,200円削減
・実施頻度:月1回(20,000本)

622,200円×12ヶ月=年間 約7,466,400円の人件費削減
バリ取り作業の実施回数が多い現場ほど、年間での削減効果はさらに大きくなります。

設備投資回収の目安

バリ取り機の機械本体価格:定価1,800,000円の場合、以下のような投資回収が想定されます。

・1回あたりコスト削減額:約622,200円

1,800,000円÷622,200円≒2.9回
つまり、約3回のバリ取り作業で設備費を回収可能。月1回の稼働ペースであれば、約3ヵ月で投資回収できる試算となります。

投資回収後の純利益

設備費を回収した4回目以降のバリ取り作業では、追加投資なしでコスト削減効果のみが積み上がります。

・4回目以降:1回あたり約622,200円がそのまま利益効果に
・月1回稼働の場合:年間約7,466,400円の純利益効果

バリ取り機(UNI-DEBURRING)は使えば使うほど利益が増える設備として長期的なコスト改善・収益性向上に貢献します。

バリ取り機を導入したお客様の声

バリ取り機(UNI-DEBURRING)を実際に導入されたお客様に取材を行いました。

黒田鋼管株式会社
〒585-0045 大阪府南河内郡千早赤阪村大字川野辺134番

品質と生産性を両立させるためにUNI-DEBURRINGを導入いただきました。
作業時間やコストの削減以外にもメリットを感じていただいています。

まとめ

バリ取り作業の半自動化は単なるコスト削減にとどまりません。

・作業者の身体的負担軽減
・属人化の解消
・生産性向上による残業削減

といった働き方改革の推進にも直結します。人手不足が深刻化する製造業において、半自動化による作業効率向上は、現場に無理なく導入できる現実的な解決策として今後ますます重要なテーマになります。

切断機部/部門長 秋山周司
切断機部/部門長 秋山周司
入社20年。1級機械保全技能士をはじめ、認定電気工事従事者(第二種電気工事士)、 産業用ロボット、クレーン、玉掛けなど、多彩な技能講習を修了。 現在は主にメタルソー丸鋸切断機の販売・修理を中心に、切断機部で扱う各種機械全般の点検・メンテナンス・修理対応を担当。現場での機動力と確かな対応力から、“切断機械のエキスパート”として信頼を集めている。 趣味:車やバイクの整備・修理、木工DIY、ソロ活動(キャンプ、カラオケ、焼肉、ドローン)