スポット溶接とは? 特徴やメリット・デメリットを解説
金属を加工するうえで溶接は重要な役割を担っており、製品によって溶接の技術や扱う母材が異なります。
溶接方法の一つであるスポット溶接は、仕上がりがきれいで手軽に行えて、自動車・電車から個人のDIY制作まで幅広く活用されています。
この記事では、「スポット溶接の基本情報について調べている」「メリット・デメリットが知りたい」とお考えの製造担当者の方に、スポット溶接とは何か、ほかの溶接方法との違いやメリット・デメリットをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.スポット溶接とは
- 2.ほかの溶接方法との違い
- 3.スポット溶接機の種類
- 4.スポット溶接のメリット・デメリット
- 5.まとめ
スポット溶接とは
溶接は、融接・圧接・ろう接の3種類あり、スポット溶接は圧接の一種です。
▼溶接の種類と方法
種類 |
溶接方法 |
融接 |
金属を溶かして接合する |
圧接 |
金属に圧力をかけ電気抵抗によるエネルギーで接合する |
ろう接 |
はんだづけのように溶加材を使用して接合する |
スポット溶接は、接合する金属の上下から電極で圧力をかけて電流を流して、電気抵抗により発生した熱で金属を溶かして溶接します。
一回の溶接範囲が狭く、点(スポット)で接合することからスポット溶接といわれています。また、電気抵抗を利用する特徴から、抵抗溶接や抵抗スポット溶接とも呼ばれています。
溶接時間が比較的短く、専門的な技術を必要としないため、初心者でも作業しやすいのが特徴です。
スポット溶接で使用される金属は、高張力鋼板や軟鋼、電気伝導率および熱伝導が高いステンレスやアルミなど多様な材質に対応しています。
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ほかの溶接方法との違い
溶接にはさまざまな方法があり、製造物や母材によって使い分けがされています。なかにはスポット溶接と似た方法もあるため、それぞれの違いを把握することが大切です。
①アーク溶接
アーク溶接は、空気中の放電現象を利用して金属を接合する溶接方法であり、融接に分類されています。
スポット溶接が電気抵抗によって発生した熱を利用するのに対して、アーク溶接はアーク放電を利用して母材を溶かします。
アーク放電は温度が2万度を超えるケースもあるため、あらゆる金属を溶接することが可能です。
また、スポット溶接は資格を必要としませんが、アーク溶接は感電や爆発などのおそれがあることから、講習の受講が推奨されています。
②レーザー溶接
融接に分類されるレーザー溶接は、レーザー光の熱を利用して金属を接合する溶接方法です。レーザー光は強力かつコントロールがしやすいため、細かい溶接ができます。
近年では、光ファイバーを利用したファイバーレーザーが開発されたことで、母材に歪みを発生させずに溶接ができるようになりました。
また、レーザー溶接は溶接時に溶化剤が必要となるため、金属を酸化させないように不活性ガスを照射しながら溶接しなければなりません。
スポット溶接機の種類
スポット溶接機には、“定置型”と“ポータブル型”の2種類あり、電源形式によって細かな違いがあります。
定置型は、基本的に母材を溶接機にセットするため、大きさに制限があることが特徴です。
ポータブル型には、ガントランスタイプとステーションタイプがあり、溶接方法として両面スポット・プロッド溶接(片面スポット)があります。小型で持ち運びができ、操作性の高いものが多いため、細かい作業に向いています。
電源形式は、単相交流型・インバータ直流型・コンデンサ放電型の3種類あります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
▼電源形式の種類と特徴
種類 |
特徴 |
単相交流型 |
|
インバータ直流型 |
|
コンデンサ放電型 |
|
スポット溶接のメリット・デメリット
スポット溶接にはメリットだけではなくデメリットもあるため、どちらも把握しておくことが大切です。
主なメリットとしては、作業時間が短いため生産性の向上につながる点が挙げられます。
▼スポット溶接のメリット
- 溶接時間が短い
- 母材への影響が少ない
- 初心者でも扱いやすい
- 消耗部品が少ない(コスト削減)
一方、デメリットとしては、金属の厚さ制限や強度の課題が挙げられます。
▼スポット溶接のデメリット
- 扱える金属の厚さに制限がある
- 瞬間的な高電流によってほかの電気設備に影響が出る場合がある
- 製品の形状や大きさによっては対応できない場合がある
- 電源設備に費用が掛かる場合がある
まとめ
この記事では、スポット溶接について以下の内容を解説しました。
- スポット溶接の概要
- ほかの溶接方法との違い
- スポット溶接機の種類
- スポット溶接のメリット・デメリット
スポット溶接は簡単かつ安全で、初心者でも作業しやすい溶接方法です。
また、母材への影響が少なく仕上がりが美しいことから、自動車や電車、家電製品などに幅広く活用されています。
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