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工業用ガスバーナーの点火装置とは?イグナイターと点火トランスの違いを比較

工業用ガスバーナーは、乾燥炉、加熱炉、熱処理炉など、さまざまな生産設備で熱源として使用されています。しかし、ガスを供給するだけでは燃焼は始まらず、家庭用ガスコンロのように「火花」を飛ばして安全にガスへ着火させるための点火装置が不可欠です。本記事では、工業用ガスバーナーの安全運転を支える点火装置の仕組みと、代表的な方式であるイグナイターと点火トランスの違いについて解説します。

工業用ガスバーナーに不可欠な「点火装置」の役割

現場における点火装置は、単に火をつけるだけの器具にとどまらず、設備全体を安全かつ安定して運転するための重要な役割を担っています。

なぜ点火装置は必要なのか?

ガスバーナーは、燃料ガスと空気が適切な比率で混合した状態のところに、正確なタイミングで十分なエネルギーを持った火花が加わることで初めて安定して着火します。もし点火装置が正常に作動しなかったり、発生する火花のエネルギーが不足していたりすると、未着火のままガスが炉内へと放出されてしまいます。この状態でガスの供給が続くと、炉内に未燃ガスが滞留し、再点火の際にバックファイヤや炉内爆発といった爆発的燃焼の原因になる可能性があります。

そのため、工業用ガスバーナーにおける点火装置は、

  1. 決められたタイミングで
  2. 十分なエネルギーを持った火花を発生させ
  3. 確実に着火させる

という重要な役割を担っています。

火花はどのように作られる?点火装置の基本原理

点火装置は、工場で一般的に使用されている100Vや200Vの電気を、そのまま火花に変えているわけではありません。装置の内部で電圧を数千~数万ボルトまで高め、その高電圧を燃焼ノズル付近に設置された点火電極(スパークプラグ)へ送り込みます。

すると、点火電極の先端にある電極間で放電が起こり、スパーク(火花)が発生します。この火花がガスに着火することで燃焼が始まり、安定した炎が形成されると、バーナーは正常運転へ移行します。

つまり点火装置は、「普段使っている電気の電圧を高め、ガスに着火できる強い火花を作り出す装置」と考えるとイメージしやすいでしょう。


点火装置の選定でお悩みではありませんか?
イグナイターや点火トランスなど、設備に適した点火方式の選定には、バーナーの種類や燃焼条件などを考慮する必要があります。
「どの点火装置が合うかわからない」という方は大同興業㈱燃焼機部にご相談ください!


イグナイター(電子式)と点火トランス(トランス式)の違い

現在の工業用ガスバーナーでは、大きく分けて電子式のイグナイターとトランス式の点火トランスの2種類が使用されています。それぞれ特徴が異なり、設備や用途に応じて使い分けられています。

イグナイター(電子式)とは?仕組みと特徴

半導体素子やコンデンサなどで構成された電子回路を利用して電気信号を制御し、効率よく高電圧を発生させる方式で、現在の工業用ガスバーナーでは広く採用されている点火方式の一つです。

■主な特徴

  • コンパクトで設置しやすい
    小型・軽量のため、制御盤内や設備の限られたスペースにも設置しやすく、省スペース化に貢献します。
  • 安定したスパークを発生
    電子制御により、毎回ほぼ一定の火花を発生させることができるため、
    着火のばらつきが少なく安定した燃焼につながります。
  • 省エネルギー
    効率よく高電圧を発生させるため、消費電力を抑えられる傾向があります。
  • メンテナンス負担が少ない
    可動部がほとんどないため摩耗が少なく、長期間安定した性能を維持
    しやすい構造です。
  • 自動運転設備との相性が良い
    燃焼安全制御機器や炎検知器と組み合わせやすく、自動運転を行う設備で
    多く採用されています。

■このような設備におすすめ

  • 工業用ガスバーナー
  • パイロットバーナー
  • 小~中容量のバーナー
  • 自動運転設備
  • 乾燥炉・加熱炉

イグナイター

点火トランス(トランス式)とは?仕組みと特徴

点火トランス(トランス式)は、電磁誘導の原理を用いた鉄芯とコイル(一次巻線と二次巻線)による変圧器の構造を利用した方式です。長年にわたり、工業炉や大型バーナーで使用されてきた実績があります。

■主な特徴

  • 力強いスパークを発生
    高いスパークエネルギーを発生できるため、着火条件が厳しい場合でも
    安定した点火が期待できます。
  • 大型設備にも対応しやすい
    ガス量が多い設備や火炎が形成されにくい条件でも高い着火性能を
    発揮します。
  • 構造がシンプルで耐久性が高い
    シンプルな構造のため、長期間使用される設備でも高い信頼性があります。
  • 過酷な環境にも適応
    高温や粉じん、振動など工場特有の環境でも使用されることが多く、
    堅牢性に優れています。
  • 幅広い燃焼設備で採用
    ガスバーナーだけでなく、液体燃料を使用する設備でも採用されることが
    あります。

■このような設備におすすめ

  • 大型ガスバーナー
  • 加熱炉
  • 熱処理炉
  • 乾燥炉
  • 着火条件が厳しい設備

点火トランス

最適な点火装置を選ぶには?

電子式とトランス式には、それぞれ異なる特徴があります。
電子式は、小型で省エネルギー性に優れ、自動制御設備との相性が良いことから、多くの一般的な工業用ガスバーナーで採用されることがあります。一方、トランス式は、より強力なスパークを必要とする大型設備や、着火条件が厳しい環境で選ばれることがあります。

どちらが優れているということではなく、バーナー容量・燃料の種類・設置環境・運転条件に合わせて最適な方式を選ぶことが重要です。

まとめ

点火装置は、工業用ガスバーナーの「火をつけるための部品」というだけではありません。安定した着火性能はもちろん、安全な燃焼開始や設備の安定稼働を支える重要な役割を担っています。設備に適した点火装置を選定することで、着火不良の低減や燃焼の安定化、設備トラブルの予防にもつながります。


当社では、工業用ガスバーナーの選定だけでなく、点火装置や燃焼安全機器を含めた燃焼システム全体のご提案を行っています。
「現在の設備に合った点火方式を知りたい」「着火不良が発生して困っている」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

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燃焼機部/部門長
燃焼機部/部門長
入社20年。液化石油ガス設備士など多数の資格を持ち、現場・設計・営業・企画・広報まで幅広く対応する“技術と現場をつなぐコーディネーター”的存在。これまでに、燃焼機器のガス消費量を50%以上削減する独自システム開発や、災害対策用バーナーの製品化など、環境・安全・効率のすべてに向き合った技術革新を多数リード。